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子育て支援Let’s Talk!子どものことを話そう(LT)—ネウボラ編

フィンランドでは 、「子育て支援Let’s Talk!子どものことを話そう(LT)」は、保健・医療・福祉機関だけでなく、学校、幼稚園、保育園、ネウボラ、学校保健など多様な場で行われています。

そこでネウボラでLT を行っている心理士のMikko Lohilahtiさんにお話を伺いました(メールインタビュー)。

Mikkoさんのプロフィール

Mikkoさんは心理士、家族療法家、そして LT のトレーナーです。成人を対象とした精神科で23年間の臨床経験を経て、現在はイロマンツィ(Ilomantsi)の家族ネウボラに勤務されています。

Mikkoさんたちがケアしている方のほとんどは、色々な症状がある子どもたちです。家族療法を数多く行なわれ、家族ネウボラの中でもLTを行っています。ネウボラともよく連携しています。

Mikkoさんたちは、ネウボラに来る妊娠した全ての女性とその家族にLTを行なっておられます。成人の精神科での臨床経験がネウボラでLTを始めた理由に大きく影響されているということです。

ネウボラで、妊娠した全ての女性とその家族にLTを行おうと思った理由を教えてください。

イロマンツィ(Ilomantsi)にある家族ネウボラで働き始めた時、同僚は(子どものメンタルヘルスの問題への)予防的支援を考えていましたが、実際どのような方法があるか知りませんでした。

私は、前の職場で、成人の精神科の患者さんと、彼らの子ども時代のことや育ってきた環境についてたくさん話してきました。だから、「日常生活」が最も重要な事を知っています。こころの病気を抱える親の家庭は、アルコールや経済的問題など、いろんな問題があります。これらの問題は、子どもの日々の世話や子どもとの相互作用に大きな影響を与えています。ですから私は以前の職場でもLTを行なってきました。

LTは予防的支援として有用であり、なおかつ(専門家にとって)学びやすいものだと思います。また、LTは構造化された方法ですが、私の経験では、むしろ親とコミュニケーションがとりやすいものだと思います。つまり、LTはどんな人でも、日常生活について話すよいきっかけになるのです。家族に問題がある場合でも分けへだてなく話し合えるのです。特に家族の問題が重症のメンタルヘルスの問題である場合なら、なおさら、親から「子育て」を取り上げてしまうことはとても危険です。これは精神科だけはなく、ソーシャルワークの場でも同じくらい重要な問題でしょう。

妊娠中の女性だけでなく、子どもが1歳半、4歳になった時も、約75%の親がネウボラで継続してLTを受けるということ、ネウボラでLTを始めた頃は、父親不在が多かったけれど、最近では、父親も、つまり両親で一緒にLTを受けに来ている、という話が興味深いです。ネウボラでLTを行なっているベネフィットについて、Mikkoさん、同僚、親それぞれの視点からもう少し教えてください。

以前お話した通り、研究として行なっていませんが、LT後、親から毎回フィードバックをもらうようにしています。私たちの質問はシンブルです。つまり「こういった対話をされてよかったでしょうか?」と尋ねるのです。親からは、よいフィードバックをもらっています。また精神科の患者さん、ソーシャルワークや児童福祉の場でLTを受けた方からも、LTは(他の支援方法)と全然違うと聞いています。つまり、LT を受けている時、親は罪悪感を感じず、また支援者は、親が考えていることに耳を傾けているからです。

私の同僚で児童福祉に携わっていたソーシャルワーカーも同じことを口にしています。彼女は児童福祉に従事していた経験から、実はLTを行う前はとても緊張していました。しかし、彼女がLTを始めてから現在まで、LTに対して否定的な考えを持ったことはありませんし、以前からネウボラで働いている別の同僚もまた同じです。

ネウボラでLTを同じ親に3回(妊娠30週、子どもが1歳半と4歳)行っていますが、この時期にした理由を教えてください。

ネウボラで行われる総合健診の時期に合わせているためです。さらに妊娠期は、父親とうまくやっていくための大切な時期です。少なくとも3人目の子どもまでは、父親は、父親になることに神経質になっていると聞いたことがあります。

ネウボラでは、同じ親と複数回LTを行っていますが、それはどのような経験ですか?
(注:LTは通常2回前後のセッションで終結し、同じ親と何回もLTを行いません)

出産から1年半後のLTでは、親はとても熱心に赤ちゃんのことを話してくれます。ですからこの時期のLTは、子どもやきょうだいの問題、あるいはきょうだい関係に関する悩みなどを話せる良い機会なのです。また、すでに支援者と顔見知りなので、困ったことについても話しやすいのです。

LTは親との対話を大切にしています。ネウボラでも同様ですが、何か違いはありますか?

LTにおける親との対話では、親はメンタルヘルスの問題を話しやすいと思います。それは第一に、LTは家族の問題をスクリーニングする、あるいは評価する方法ではないからです。もしメンタルヘルスに問題がある時は、精神科看護師と連携したり、ネットワークミーティングを開催します、そこには家族にとって重要な人(親族やメンタルヘルスの専門家)も招きます。私たちは、精神疾患だけに着目したり、取り上げたりすることはありません。

また、ネウボラでは、親は家で自己チェックシートに記入し持参することを幾度となく行なっています。そして保健師とそれを見ながら問題点について話し合います。重要視されているのは、問題を見つけることなのです。LTでの対話はさらに時間をかけますが、ここでは親が話し合いの主役となる本当の対話なのです。

最後に、Mikkoさんを紹介してくださり、貴重な機会を提供してくださったソランタウス先生に心より感謝申し上げます。

Mikkoさん、本当にありがとうございました。Mikkoさんとは、2014年にフィンランドのタンミサーリで開催されたLTトレーナーの研修会でお会いしました。またお会いできますことを楽しみにしております!